ケベック・シャルルボアしあわせキュイジーヌの旅

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「しあわせ」いっぱいの旅が始まる

実りの季節を待って再びケベックを訪れた僕は、「幸」という言葉の意味をずっと考えていた。「しあわせ」とも読むし、「さち」とも読む。「さち」は海の幸、山の幸という時の、あの「さち」。「幸」はなんて奥深い言葉なんだろう、とー。

海から山から大地から、僕らのもとにもたらされる「さち」は、心の底から僕らを「しあわせ」にしてくれる。

おいしそうなものを見ると、誰もが自然と顔がほころんでしまう。料理を目の前にして、そこから立ち上るかぐわしい香りを嗅いでしまったら、ずっと不機嫌でいることなんて誰にもできやしない。

もっとも、少し残念なことに、「さち」による「しあわせ」も度が過ぎると、ダイエットの必要性に迫られたりする。でもそれは必ずついて回ること。まあ、素直に受け止めるしかない。

ケベックは実においしいものに溢れている。中でも、日本ではあまり知られていないケベック西部の「シャルルボア」という洒落た名前を持つこのエリアは、まるで収穫の神様に愛でられているんじゃないかと思うぐらい、「さち」に恵まれた土地なんだ。

だから僕はケベックに、そしてシャルルボアにいる間中、「しあわせ」と「さち」ということについて考えていたんだ。

豊かな大地と収穫と、それらから生み出されるおいしい料理。もちろん、おいしいものを作ってくれる料理人の方々にも心から感謝しながら、シャルルボアを巡る「しあわせ」いっぱいの旅に出かけたい。

思いっきり肩の力を抜いて、グルメとか、美食とか、食通とか、そんな難しい言葉もすべて日本に置いたままにして、ここにやって来てほしいんだ。

僕が勝手に、「しあわせキュイジーヌ(cuisine)の旅」と名付けた、楽しくておいしい旅へと。

ケベック・シャルルボアしあわせキュイジーヌの旅
  1. 「しあわせ」いっぱいの旅が始まる
  2. 列車はあの滝から出発した
  3. 「しあわせ」なチーズの王国
  4. 可愛いけれど、おいしそう
  5. 緑色のケチャップ
  6. 「シルク・ド・ソレイユ」が舞い降りた
  7. 再び「ワンダケ」へ
  8. 「創始者」がいた店
  9. ハンク鈴木さんに出会った
  10. おいしすぎる島(1)
  11. おいしすぎる島(2)
  12. 冬の誘惑
  13. 続・再び「ワンダケ」へ
  14. 「しあわせ」すぎる夕食
  15. 「しあわせ」な人たちが暮らす場所

著者プロフィール

平間 俊行 (ひらま としゆき)

報道機関で政治・選挙報道に携わる一方、地方勤務時代には地元の祭りなど歴史や文化に触れる取材に力を入れる。現在は編集部門を離れ、別分野の事業を担当しながら度々カナダを訪れ、カナダの新しい魅力を伝え続けている。